◆ 負けたのだから仕方がない。だから、二度と負けない日本を作ろう!! 


FALL OUT BOY ~ Centuries


日本の脱自虐史観が中国を利する理由
国際関係アナリスト 北野幸伯

2015.08.26
(http://diamond.jp/articles/-/77330 )


謝罪を要求し続ける中韓を嫌い、さらには反米感情までをも募らせる「脱自虐史観」の考え方が、急速に日本で広まっている。自虐史観からの脱却それ自体は正しい。しかし、それだけでは日本は国際社会から孤立する。



行き過ぎた自虐史観から脱するのは正しいが、日本は悪くないと思い詰めれば
国際社会から孤立する道を歩むことになる Photo: AP / AFLO



もう謝罪はうんざり
自虐史観から脱却しつつある日本人



 「安倍談話」の評判がいい。


< 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。>(太線筆者)


こう断言し、中韓からの非難にうんざりしている国民を喜ばせた。「安保関連法案」ゴリ押しで急落した支持率も、回復してきている。安倍総理は「自虐史観」から急速に脱却しつつある世論の「追い風」に支えられ、揺れ動きながらも政権を保っている。


しかし、いま真剣に考えなければならない問題がある。よい脱自虐史観も行き過ぎればトラブルの元になるということだ。


日本は、急速に「自虐史観」から脱却しつつある。たとえば、安倍総理の「靖国参拝」(2013年 12月 26日)を支持した人は、ヤフー意識調査で約 8割、もっとも反安倍である朝日新聞でも約 6割に達した。あるいは、「直接おわびなし」「子や孫に謝罪させるな」の安倍談話で、支持率が上昇したことなどでもわかる。


書店には、「日本は悪くなかった本」が乱立し、しばしばベストセラーになっている。「自虐史観を支持する人、支持しない人はそれぞれ何%?」というはっきりしたデータはないが、これを読んでいる皆さんも、おそらく「脱自虐史観のムード」を感じていることだろう。


「脱自虐史観」が「トレンド」になったきっかけは、何だったのだろうか?


海外から見ると、2011 ~ 2012年が転換点だったように思える。2011年 3月の東日本大震災後、「日本のため」「日本人として」というフレーズが、「右翼用語」でなくなり、ごく自然に使われるようになった。未曽有の災害に襲われた結果、国民の中に一体感がでてきたのだろう。


2012年は、中韓との関係が、劇的に悪化した年である。この年の 8月、韓国の李大統領(当時)が、竹島に上陸。彼はその後、「日王(=天皇)が韓国に来たければ謝罪せよ」と発言し、日本国民を激怒させた。


同年 9月、日本政府は尖閣を「国有化」。中国政府・中国民はこれに猛反発し、大反日デモが起こる。日中関係はこれで「戦後最悪」になった。


こうして悪化した、日中・日韓関係。日本では「こんな無礼な国々に、謝罪しつづける必要はない」という機運が急速に高まっていった。さらに、「日本人に自虐史観を植えつけたのは、GHQ だ」という事実も広く知られるようになり、「反米感情」も強くなっている。


筆者は、日本が「自虐史観から脱却しつつある」のを歓迎している。しかし、それですべてうまくいくと考えるのも、また問題なのだ。


自虐史観を捨てれば
すべてうまくいくのか?



「脱自虐史観」がブームになり、さまざまな人が、「日本最大の問題は『自虐史観』であり、それを克服すれば、すべてうまくいくようになります」などという。確かに、人生において「セルフイメージ」は決定的に重要だ。しかし、「セルフイメージが良くなれば、全部うまくいく」というのも、大げさだろう。


そのような主張の人と会うと、筆者は、こんな質問をする。「自虐史観を捨てれば『すべてうまくいく』といいますが、日本人は戦前『自虐史観』を持っていましたか?」すると、「持っていませんでした」と答える。「では、どんなセルフイメージを持っていましたか?」と聞くと、「日本は『神の国』であるというイメージです」と答える。私は「自虐史観とは正反対の、高いセルフイメージを持っていたのですね?」と確認する。すると、「そうです」と答える。


ここで、筆者は決定的な質問をする。「『神の国である』という、自虐史観とは真逆の高いセルフイメージを持っていた日本ですが、それで戦争に勝てましたか?


答えは、誰もが知っている。神の国日本は完敗した。こんな短い会話で、すべての人が気づく。脱自虐史観も大事だが、それだけで勝つことはできないのだと。


「脱自虐史観」 が持つ、もう一つの「負の側面」は、「反米感情を強める」ことである。なぜか?「自虐史観」を抜け出しつつある人は、当然考える。「なぜ私は、自虐史観を信じていたのだろう?」と。すると、「GHQ に洗脳されたからだ」という、結論にたどりつく。「洗脳」されていたことに気づいたとき、洗脳した主体を好きになることは難しい。


洗脳から解放された人は、「その後の日本」についても調べるだろう。すると、「日本は終戦後から現在まで、『米国の属国』といえる状況にある」という事実にも気づく。そして、米国への怒りは、ますます増幅されていく。


脱自虐史観は米国のみならず
大国群との関係を壊す



米国の歴史観は「米国は善、日本は悪」である。日本の保守は、これをひっくり返して「日本は善、米国は悪」と主張する。


ところが、この主張は「日本は善、米国は悪」にとどまらない。結局「日本は善。米国、英国、中国、ソ連(今はロシア)は悪」という結論に転化する( 実際、ロシアのラブロフ外相は、「日本は第2次大戦の結果を受け入れていない世界唯一の国だと皮肉っている)。


さらに、日本と共に敗戦国になったドイツも、「戦勝国の歴史観」を受け入れている。これは、「全欧州」が「戦勝国の歴史観」を受け入れていることを示す。


つまり、「脱自虐史観」が今後ますますブームになり、国民の総意になった時、日本は、再び 「全世界を敵にまわす」ことになりかねない。「いや、アジアの国々(中国、韓国以外)は、日本のおかげで独立できたと感謝していますよ」という人もいるし、実際そうだろう。しかし、パワーバランスでみると、アジアの国々の一部が日本の味方でも、分が悪すぎる。日本が、米国、欧州、中国、ロシアを同時に敵にまわしたとき、日本を守ってくれる国がアジアにあるだろうか?そんな国は存在しないのだ。


2012年 9月、日本政府は「尖閣」を「国有化」した。これに激怒した中国は、モスクワで「反日統一共同戦線」構築を呼びかけた。これが、中国の「対日戦略」の基本である。まだ読んだことがない方は、是非 こちらの記事 を熟読していただきたい。


しばしば書いているのでウンザリしている人もいるだろうが、大切なので、また書かせていただく。この戦略の骨子は、3 つである。
1. 中国、韓国、ロシアで反日統一共同戦線をつくる
2. 日本に領土要求をあきらめさせる。沖縄は日本領ではない
3. 米国を「反日統一共同戦線」にいれる
この戦略に沿って、中国は世界中で大々的に「反日プロパガンダ」を行っている。


プロパガンダのポイントも 3 つだ。
日本は、
1 .右傾化している
2 .軍国主義化している
3. 歴史の修正を求めている


中国は「歴史問題」を持ち出すことで、日米を分断させたいのだ。韓国は、中国の戦略に乗って、熱心に働いている。米国、カナダ、オーストラリアで、「慰安婦像を建てよう!」という運動が盛り上がっているのは、まさにこの戦略の一環である。

  「マイク・ホンダ」の存在。そして彼を裏で操る存在。


筆者は、「脱自虐史観」を支持している。しかし、事実として脱自虐史観中国に利用されていることも十分理解している。実際、中国のプロパガンダは、全世界に浸透していった。その結果が、靖国参拝後の世界的「安倍バッシング」なのだ。


中韓だけでなく、米国、英国、EU、ロシア、オーストラリア、台湾、シンガポールなどが、この参拝を非難した。在任中 6回も参拝したのに、ほとんど問題にならなかった小泉総理の時代とは、世界の反応がまったく異なっている。この「反応の違い」の背後に中国の戦略があるのだ。


脱自虐史観に加えて
リアリストになろう



「脱自虐史観」それ自体は、よいことである。しかし、それで「反米感情」が強まりすぎると、まさに中国の戦略どおりになってしまう。だからといって、「永遠に自虐史観でいろ!」というのも違うだろう。


要は、過激にならない脱自虐史観ならいいのだ。ここでいう「過激」とは、「怒りに駆られ、米国、中国、韓国などとの関係を不必要に破壊してしまうこと」である。あなたが「脱自虐史観」の持ち主で、「怒り」を伴っているのなら、以下のことを一度考えていただきたい。


1. あなたは、中国・韓国のように、過去にこだわり続ける嫌な奴になりたいか?


日本では、反中国、反韓国感情が強い。その一番の理由は、戦後 70年経っても、いまだに「謝罪しろ!」と要求し続けていることだろう。たとえば、脱自虐史観に目覚めた私たちが、「70年前の原爆投下を謝罪しろ!」と米国に要求し続けたらどうだろうか?自分自身、「中韓のような嫌な奴」になってしまうのではないだろうか?


2.世界共通の歴史認識はありえない


日本の一部の人たちは、「歴史戦」という言葉を使い、第2次大戦における世界の歴史観を 「ひっくり返そう」としている。しかし、そんなことは不可能だ。まず第一に、米国、英国、中国、ロシアが一体化して、それを阻止するために動きだす。そうなれば、第2次大戦に勝てなかったのと同様、情報戦で負けることになるだろう。


もう一つ、そもそも世界共通の歴史認識というのはありえないのだ。なぜか?日本と戦った国々にとって、日本はまさに敵国だったからである。日本軍に殺された親族を持つ米国人や中国人に、「日本は全然悪くないです」といえば、納得してくれるだろうか?


健全な姿とは、「日本は日本の歴史観」を持ち「米国は米国の歴史観」を持つことである。今まで日本人は、「米国の歴史観を信じていた」ので不健全だった。「日本は日本の歴史観」を持てばいい。しかし、それを米国に押しつけようとしてケンカをする必要はない。


3. 指導者を憎んで、民を憎まず


日本人も外国人もそうだが、「他国の指導者への憎しみ」は、容易に「国全体への憎しみ」に転化する。たとえば、日本では反中感情が強い。しかし、中国国民は、同国政府が「日本に沖縄の領有権はない」と主張していることに直接の責任はない。


米国についても同じだ。トルーマン大統領が「原爆投下」を指示したとしても、米国民に責任はない。だから、私たちも「指導者への恨み」を「相手国民全体の恨み」に転化させないよう注意したいものだ。


4.脱自虐史観リアリストになろう


筆者は、「自虐史観」を支持しない。特に親米というわけでもない。しかし同時に、「現在日本最大の脅威は、尖閣、沖縄を『自国領』と主張し、反日統一共同戦線を主導する中国である」ことをはっきり理解している。そして、日本が中国に勝ちたかったら、米国の協力が絶対不可欠なのだ。


「脱自虐史観原理主義者」になり、「諸悪の根源は米国である!」と過激になり、米軍を追放したらどうなるだろう?米軍に代わって、「人民解放軍」が入ってくるだけだ。そして、120万人が大虐殺されたチベットや、46回の核兵器実験で汚染しつくされた新疆ウイグル自治区の例を見てもわかるように、中国の支配は、米国より「ずっと過酷」なのである( 米国に事実上支配された韓国と、中国に事実上支配された北朝鮮の違いを見るだけで、明らかだろう)。


心の中は脱自虐史観でいいしかし、現実の世界では、リアリストでいる必要がある


戦争に負けたから日本は悪者にされた


筆者は、7月末から 8月初めにかけて、日本に一時帰国していた。その際、意識して、戦争を知っている世代から話を聞いた。ある人(80代男性)は、とても印象に残る言葉を語った。


「日本が植民地支配をしたから謝れというが、植民地ならイギリスの方がたくさんつくった。

日本は残虐行為を謝れというが、日本が原爆投下以上の残虐行為をしたなんて話は聞かない。

そんなことはわかっている。

でも、日本が『世界の悪者』にされたのは負けたから』だ。

負けたから仕方がないのだ


まさにその通りだろう。自虐史観を克服した私たちは、自分にこう言い聞かせよう。転んだら、立ち上がればいい負けたら、次に勝てばいいそして、勝つ(どこかの国に再び支配されないために自立する)ためには「脱自虐史観」を叫ぶだけでなく、世界の大局を見極めること、賢明であることが求められる。


「おじいさん、世界の間違った歴史観をひっくり返しますから見ていてください!」と不可能なことを誓っても、約束は守れない。それよりも、
「おじいさん、無念だったでしょう。私たちは、二度と負けない日本を作ります
と誓うべきなのだ。


UK TOP 40 ROCK ALBUMS (2015.08.28 付)
No.5  Non-Mover | 32 weeks in chart

American Beauty/American Psycho
FALL OUT BOY
『AMERICAN BEAUTY / AMERICAN PSYCHO』(2015.01.21)

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この記事は2015年9月2日保存の再投稿です。
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