◆ 北朝鮮危機と72年前の符合 

広島・長崎「原爆の日」
北朝鮮危機と72年前の符合

2017.08.11
(www.sankei.com/west/news/170811/wst1708110005-n1.html )

8・6原爆忌、元安川に灯籠を流す親子連れら=6日夜、広島市の平和記念公園(鳥越瑞絵撮影)
8・6原爆忌、元安川に灯籠を流す親子連れら
=6日夜、広島市の平和記念公園
鳥越瑞絵撮影



広島、長崎に原爆が投下されてから72年。

今年ほど、この2つの都市が体験した惨禍が単なる過去の出来事ではないと実感させられる夏はない。


その要因の一つは言うまでもなく、北朝鮮の核・ミサイル開発により、米朝間の緊張が極度に高まっていることだ。

現実に軍事衝突が起こり、日本国内やその周辺でも核兵器が使用され、72年前の惨状が再現されるのではないか--こんな不安が確実にわが国を覆っている。


単なる過去ではない


そもそもなぜ、アメリカは広島・長崎に原爆を使用したのか。

なぜ日本はアメリカと戦争をしたのか。

これらの点について改めて議論を呼びそうな記録史料が邦訳出版された。

日米開戦当時のフランクリン・ルーズベルト大統領の前任、ハーバート・フーバー元大統領の回顧録『裏切られた自由』(草思社)だ。

これを読むと、72年前の原爆投下の背景と、北朝鮮と中国によって日本の安全保障が脅かされている現状とが一直線につながる。

「広島・長崎」はやはり単なる過去ではない。


『裏切られた自由』はフーバー元大統領が亡くなる直前の1964年に完成したが、世論の反発を恐れた遺族らの意向により、2011年に刊行されるまで半世紀近くも封印されていた。

原書は950ページに及ぶ大著で、邦訳は上下2巻。先月、上巻が出版された。


同著でフーバーは、米国が第二次世界大戦を戦ったのは、ルーズベルト大統領の大きな誤りだとし、
巨大な犠牲を払わされたうえに、ソ連を中心とする社会主義・共産主義陣営の勢力拡大を許すことになった――
という歴史観を、膨大な記録や関係者の証言を引用して実証を試みている。


「アメリカの誤り」の中には、「日本を開戦に追い込んだ」ことも含まれ、『裏切られた自由』では、ルーズベルト政権が経済制裁などで日本を追い込み、アメリカとの戦争回避を望む日本側の申し入れをいかに拒否、無視し続けたかを細かに紹介している。


「第二次世界大戦は民主主義とファシズムの戦いであり、民主主義が勝利した」というアメリカで今でも圧倒的に支持されているルーズベルト「正戦論」を否定し、その開戦責任を問う議論は、戦後間もないころから元共和党党首のハミルトン・フィッシュらによっても唱えられてきた。

その中で『裏切られた自由』は、ルーズベルトが批判されるべき大きな要因として「共産主義」を据えている点に特徴がある。


共産主義の影響


容共傾向の強かったルーズベルトが1933年にソ連との外交樹立に踏み切ったことで、アメリカ国内、さらには政府内にソ連と通じた共産主義者=スパイの浸透を許したと批判し、世界革命のため戦争も利用しようとした彼らがアメリカのその後の政策を誤らせ、やがては共産中国の誕生や朝鮮戦争を招いたとも指摘している。


日本にとって重要なのは、ルーズベルト政権内に潜伏した共産主義者らが、日米が戦争回避に向けて1941年11月にぎりぎりの交渉を行っていた際、日本が受け入れ可能とみられていた協定案をつぶしたという疑惑を記述していることだ。

ここでフーバーが名前を挙げた大統領補佐官、ロークリン・カリーは、近年の機密文書公開で、ソ連のスパイだったことが裏付けられている。


なぜ原爆は投下されたか


『裏切られた自由』でフーバーは、日本への2発の原爆投下についても
「日本は繰り返し、和平を求める意向を、示していた。原爆投下は、(中略)アメリカ人の良心を永遠に責め苛(さいな)む」
と批判し、
「日本の降伏はすでに決定的で原爆投下は不要だった」
という当時の軍幹部や政治家たちの発言を列挙している。

これも、現在のアメリカ世論の多数が支持する「戦争終結を早め、多くのアメリカ将兵の命を救った」という原爆投下正当論を否定する議論だ。


『原爆投下をめぐるアメリカ政治』(法律文化社)を今年2月に刊行した大阪大学大学院の山田康博教授によれば、アメリカが原爆投下を最終的に決定した要因は対ソ連関係だという研究が無視できなくなっているという。

山田教授自身も、「ソ連の参戦前に日本を降伏させるため」「ソ連に対して優位に立つため」という理由には疑問符がつくとしながらも、投下都市の選定にあたって日本世論が親ソ反米にならないよう考慮していた点を挙げ、「原爆の対日使用における『ソ連要因』は存在していた」と結論づけている。

原爆投下にも、「共産主義」は影を落としていたのだ。


フーバーは、日米開戦半年前の1941年6月、ルーズベルト政権がドイツに攻め込まれたソ連への武器供与を決めたことを「アメリカとロシアは非公然の同盟国となった」と批判し、次のようなラジオ演説を行っている。


「わが国が現実に(補注:ヨーロッパ戦線に)参戦しわれわれが勝利すれば、
スターリンはロシアの共産主義者を盤石にし、
共産主義思想を世界各地に拡散させることになる」


フーバーの予言が正しかったことは戦後の歴史が証明している。

そして現在、わが国の安全保障を脅かしているのも、この時「拡散」した共産主義が築いた全体主義独裁体制が続く中国と北朝鮮だ。


「共産主義」という要因を踏まえて20世紀の日本の歴史を検証することは、わが国の安全保障のあり方をゆがめている自虐的な歴史観の見直しにもつながるはずだ。(大阪正論室長・小島新一)




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ここでもう一度、フランクフルト学派 (トロイの木馬革命)

(http://natsunokoibito.blog.fc2.com/blog-entry-2464.html )

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