◆ IS系と政府軍の交戦続くフィリピン南部 

イスラム国IS)】
ドーン耳つんざく砲撃音
狙撃兵や即席爆弾の脅威
IS系と政府軍の交戦続くフィリピン南部ルポ

2017.09.30
(http://www.sankei.com/world/news/170930/wor1709300011-n1.html )

27日、イスラム過激派と激戦の末に政府軍が奪還した、フィリピン南部マラウイの中心部
27日イスラム過激派と激戦の末に政府軍が奪還した
フィリピン南部マラウイの中心部



フィリピン南部ミンダナオ島のマラウイで、
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う
「マウテ・グループ」など武装勢力と
政府軍が5月23日に衝突し、4カ月以上がたった。

武装勢力は追い詰められているが、ドゥテルテ大統領が発動した掃討作戦は、当初の想定を超えた苦戦を強いられている。

政府軍とともに、日本メディアでは初めて、中心部の戦闘地域に入った。(マラウイ 吉村英輝)


「バラバラバラ…ドーン」。

小銃や迫撃砲の交戦音が、ヘルメット越しに耳をつんざく。

銃弾で蜂の巣になった壁に隠れてのぞくと、数百メートル離れたモスク(イスラム教礼拝所)奥から黒煙が上がっていた。

27日の午前中、地元メディアなどと1時間の取材が許された。

午後は上空にジェット機が飛び、空爆らしき煙も確認できた。


武装勢力は当初、交戦となった政府軍を追い払い、マラウイ市のほぼ全域を制圧した。

だが、態勢を整えた政府軍に押し込まれ、市を東西に分けるアグス川東側に籠城の形をとった。


取材できたのは、政府軍が6月、最初に奪還したマパンディ橋を渡った東側区画。

海兵隊員13人が死亡した激戦地跡だ。


交戦開始直後に現地入りしたジェフリー海兵隊中尉(33)は
「ジャングル戦は訓練してきたが、こんな市街戦は初めてだった」
と唇をかんだ。


狙撃に加え、「即席爆発装置」(IED)に苦しめられたという。

爆弾と起爆装置を組み合わせた「わな」が、ドアや階段に仕掛けられていた。

壁を打ち破りながら、人質と敵を見分け、一進一退を繰り返した。

政府軍は1500個以上のIEDを発見し処理してきたが、まだ数千個が残されているとみている。


政府軍は3本の橋全てを奪還し、直径1キロメートルの範囲に、50~70人となった武装勢力を追い込んだ。

だが、地下トンネルなどを動き回られ、正確な所在は確定できていない。

人質もまだ40~60人いるとしている。


これまでの死者(27日現在)は、兵士・警察が152人、武装勢力側が711人。

市民は1733人を救出し、47人の死亡を確認した。

政府軍幹部は
「2週間以内で戦闘は終了できるが、不発弾処理などに3カ月はかかる」
と述べた。

実態の把握はそれからだ。


子供も戦闘員に洗脳


フィリピン南部マラウイの紛争では、武装勢力が子供も戦闘員として“洗脳”している実態が、人質の証言などから浮かび上がった。


救出された男性教員は26日、戦闘員の中に17人以上の子供が存在し、ISによる斬首の様子のビデオなどを見せられていたと、報道陣に証言した。

男性は人質になったあと、負傷した武装勢力幹部の治療に従事させられていたという。

人質だった子供たちの一部が、戦闘への参加を強要されたとの情報もある。


行政当局によると、戦闘を受け、マラウイ市内の20万7千人のほぼ全員が避難を余儀なくされた。

その後の政府軍の掃討作戦で、全96行政区中の16区は帰還可能となり、学校なども一部は再開されたという。


しかし、人口が密集していた中心地は壊滅状態で、ほとんどの住民は、周辺に設営された17カ所の避難所などに身を寄せている。


山間に設けられた避難所では28日、学校が閉鎖されたままの子供たちが、数日おきに配布される飲料水の運搬を手伝っていた。

750人を収容するが、4割が12歳以下だ。

担当者は「長期化したテント生活と栄養不足で、体調を崩す子供が増えている」と訴える。


軍や警察は、過激派の流出入を警戒し、マラウイ周辺に何重もの検問を設けている。

武装勢力掃討後も警戒は解けない。

治安が回復して市民生活の再建が始まるには、相当の時間がかかりそうだ。
     
     ◇

マラウイの戦闘

5月23日にフィリピン南部ミンダナオ島のマラウイで、ISに忠誠を誓う「マウテ・グループ」など武装勢力と政府軍が衝突し、市街戦に発展。

ドゥテルテ大統領が、ミンダナオ島全土などに戒厳令を発動した。

当初、武装勢力がマラウイ市のほぼ全域を制圧し、行政当局によると同市内の20万7千人のほぼ全員が避難を余儀なくされた。



ミャンマー~フィリピン

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